平成20年度 大阪身体障がい者地域リハビリテーション協議会に参加しました


2月17日(火)13:30〜17:00まで、大阪府障がい者自立相談支援センター主催による、大阪身体障がい者地域リハビリテーション協議会が行われました。
冒頭、部会長代行からのあいさつがあり、その後、以下の3団体より活動報告がなされました。

先ず一つ目は、『障害者生活支援センター ホライズン』の藤川氏で、題目は『困難事例でのケアマネジメントについて』でした。以下、内容です。

「筋力が衰える進行性の障害の人がサービスを利用しようとしたが、重度訪問介護をやっている事業所はほとんど無かった。案内の上ではやっていると表記されていても、実態はやっていないというところばかり。あちこちに相談して、何とか週2回の夜間介護を確保するも、ほかの日は家族が介護をし、家族にとっても厳しい状況が続いた。多くの事業所から少しずつ時間数を確保する形で生活をつなげていったが、一人が多くと関わるというのは、調整の面でもなかなか大変で、課題も残った。また、医療・介護保険・障害の制度それぞれに出来ること、出来ないこと≠ェあり、それが利用者にとっては大きな『壁』になる。」

二つ目は、『生活介護支援施設 はーふたいむ』の平田氏で、題目は『医療的ケアを必要とする重度身障児者への支援』でした。

「医療的ケアを必要とする人の受け入れは、どこの介護事業所においても困難である。単に施設に看護師が配置されれば解決するという問題ではなく、配置しても、もしその看護師が休んだら受け入れは出来ないし、一人の看護師で全員はケアし切れない。介護スタッフは原則として医療ケアをおこなってはならないが、現状、おこなってもらわざるを得ない。病院の受け入れ体制も厳しく、短期の利用であっても断られる事は多い。また退院後、在宅生活といっても、ただちに居宅環境を整えるのは難しい。そのため、最終目標は地域での自立という事を前提に、一定期間入所出来る、『医療的ケアの体制が行き届いている施設』の創設が必要だと思う。」

三つ目は、『地域生活支援センター「あーす」』の米尾氏と、大東市障害者生活支援センターの佐野氏、廣田氏で、題目は『高次脳機能障がいの相談支援の実例について』でした。

「もともとは家族の方からの相談で関わりが始まった。最初は当事者本人の話を聞くのみの対応だったが、その後、他の同じ障害の人との交流を持ってもらったり、職員から個別にパソコンを習ったりして、本人も社会参加・自立への意欲が強くなっていった。高次脳機能障害者が利用出来る身近な社会資源が少なく、また、感情のコントロールの問題など、障害の特性が理解されていない面が多いが、資源が乏しいからこそ、より情報を共有し、縦割り対応にならないようにしていきたい。他の同じ障害者との交流は効果がある。」

会場となった、
大阪府障がい者自立相談支援センターの正門
会場全景。この後さらに
追加の参加者が来られました。
『法律と制度の壁』について講演している時


後半は分科会で、以下の4つの項目で行われました。

A.自立支援協議会の先進事例
B.医療的ケア
C.高次脳機能障がい
D.障害者のケアマネジメント・サービス利用計画作成等の実践となやみ


『自立支援協議会の先進事例』のグループでは、府内4つの市の最近の事例が発表され、その中でも和泉市は、『子ども部会』、『事業所部会』、『精神(障害者)部会』など、8〜9つの部会が存在していて、活発に議論し合っているほか、地域でのニーズの拾い上げにも積極的という事でした。ただ、中には国のガイドライン通りの施策しかおこなおうとしない自治体もあるという事で、地域格差が浮き彫りになりました。

『医療的ケア』のグループでは、医療的ケアを利用したくても、事業所にお金が下りないため、結果的に利用出来ない。それでも病院から地域に出て、自ら介護者を育成している人や、ヘルパーやコーディネーターが医者から研修を受け、当事者の在宅生活を支えたという実例はあると報告されました。目下の悩みは、医者がなかなか積極的に、医療的ケアのやり方を教えてくれない(非医療系の人に)との事です。

『高次脳機能障がい』のグループでは、目には見えない障害だけに、障害=その人と見るのではなく、障害は障害で、その人自身を見るという事が大切。モデルケースの実施をしようとしたところ、家族が同意してくれた。そして、この障害の理解を深めるためにも、すごくいい役割を果たしている。受容出来ない当事者に対して、メモリーノートの使用などを進めていく、という話がありました。

『障害者のケアマネジメント・サービス利用計画作成等の実践となやみ』のグループでは、サービス利用計画を作成する上での最大の悩みとして、『書類作成のルールが細かく、また種類も多い。もっとサービスの本質的な部分に時間を費やしたいのに、事務作業だけに追われる』という点が挙げられていました。そのほか、『モニタリングの場所を自宅としている点に疑問を感じる。自宅だからといって、本当に生活実態を分かるのか?また、バリアフリーになっていない場合はどうする?』といった話や、『本人に質問しても、横から家族が先に答える。確実に本人のニーズを把握するために、本人だけとの面談と、周囲の人も交えた会議の両方を、それぞれ定期的に開いている』という話が出ました。


全体の感想として、こういう部会(JIL主催の研修会なども)では、介護コーディネーターや介護従事者が各地から集まって来るので、日頃自分たちだけで抱え込みがちな悩みを、お互いに打ち明け合えたり、情報交換や【ヒント交換】をし合える良い機会になると思いました。他団体の同業者と交流を図る事で、当面の課題解決につながる何か良いヒントを、得られる可能性があるほか、気持ちの面でも少しは楽になれるかも知れません。そういう意味で、これからも介護コーディネーター同士や、介護従事者同士による意見交換・交流の場は、創られていって欲しいと思います。



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