2005年1月16日、13:00〜16:30まで、「とよなかの中心で『自立』を叫ぶ 〜『まち』はオモロイで!〜」と題した講演が開催されました。この講演は、日頃、豊中のまちで自立生活を送っている障害者たちが、「まちで自立をするというのは、どういうことなのか。どんな苦労があり、どんな楽しみ・喜びがあるのか。そして自立生活に対する当事者たちの思い、願いとは何か」を語り合おうと企画されたものです。場所は豊中市福祉会館3階
集会室でした。
このイベントが発案されたのは約半年前で、市内の障害者団体や市民が集まって、実行委員会が作られました。
「障害者が自ら企画し、実行するイベントにしたい」との思いを胸に、クリエーティブサポートセンター・えーぜっとの井上康さんを中心に準備が進められ、今回、第一回目の講座開催に至りました。
主催は「とよなかの中心で『自立』を叫ぶ!」実行委員会で、CIL豊中は、協力団体として関わりました。
講演は二部構成に分けられ、第一部では、24時間介護を受けながら自立生活をされている、渡辺義広さんから、
『僕の人生、波瀾万丈』−突然の親の死に際して言いたいこと−
という題の講演が行われました。聞き手を永井哲さんが務められ、渡辺さんの、今までの生活の移り変わりが切々と語られました。
講師の渡辺義広さん(中央)と、聞き手の永井哲さん(右)。 左側の人は、渡辺さんの介護者 |
イベントタイトルの垂れ幕 |
約90名の参加者が集まりました | 当日、開始時の司会を務めた、 サポネ代表の石倉優子さん(左) |
渡辺さんの講演では、お母さんがある朝急に亡くなっていていかに大変だったかという話が、詳しくトツトツとなされました。ヘルパーさんたちとのコミュニケーションが、自立を始めた当初、大変だったこと、親に頼めない、それも、ある日を境に急に頼めなくなったことに対してギャップがすごくあったこと、言語障害ゆえの、外部に自力でものを伝えるときの苦労、など・・・・・・。
重度の障害ゆえに就学免除を受けていたため、現在、夜間中学に通っているという話も登場しました。
しかし最後はだんだん、聞き手の人との『掛け合い』ムードとなり、「ヘルパーさんに、変なんがおった」とか、「夜間中学の好きな科目は何もない」とか、最後は、「毎週飲みに行くのが楽しみ」と気さくに話されて、館内もドッと受けていました。
この日、特に障害者の子どもを持つ親に対して、渡辺さんが一番伝えたかった事があります。それは、
「親が元気なうちに、子どもを自立させて下さい」
「悪いことをしたらきちっと叱って、厳しく育てて下さい」
「親が抱え込もうという気持ちにならないで下さい」
という事です。みんな、この時は特に真剣に聞き入っていました。
さて、第二部では、渡辺さんのほか、石倉優子さん、若竹育子さん、上田哲郎さんの4名によるパネルディスカッションが行われました。
テーマは、『まちはオモロイ・・・でも・・・』で、当センターの大友章三さんがコーディネーターを務めました。
このディスカッションでは、各自が、日頃まちで暮らしていて、いろいろ体験したこと、感じたことを情報交換しました。
コンサートに行ったとき、トイレの中で、少し時間がかかっていると、外にいる人からいきなり通報されてしまったということ、女性障害者の立場から、ある程度大人になって、異性である父親に介護されることに対してどう感じていたかということ、車を運転する障害者の立場から、いつまで運転できる体でいられるか分からなくて不安だ、ということ・・・・・・。
参加者からの質問も相次ぎまして、なかなか賑やかなディスカッションになったと思います。
パネルディスカッションの全景 | ディスカッションに参加した、 左から石倉優子さん、若竹育子さん、 上田哲郎さん、渡辺義広さん |
若竹育子さん この方は、箕面より来られました |
当センター職員、上田哲郎さん |
ディスカッションのコーディネーターを務めた、 当センターの大友章三さん |
終わりのあいさつをした、えーぜっとの井上康さん |
今回のイベントは、参加者も大勢こられ、特に第一部の講演は内容の濃い話で、大変盛り上がったと思います。
普段なかなか聞くチャンスがない、しかし本当はもっと情報として聞きたいと多くの人が思っている、具体的な話を聞ける場が設けられたということは、大変有意義であっただろうし、ぜひ第二回も企画していただきたいですね。
当日、講師をされた方、ディスカッションに参加された方々、その他ご協力下さった方々、本当に有難うございました。