知っておきたい こころの健康講座「第1回」
〜統合失調症の病気の理解と接し方〜に参加しました
2008年1月15日(火)、13:30〜15:30まで、『知っておきたい こころの健康講座第1回、統合失調症の病気の理解と接し方』が、豊中人権まちづくりセンターにて行われました。
主催は豊中市障害福祉課および健康づくり推進課で、豊中精神保健福祉協議会が後援でした。
講師は、杉山クリニック院長の、杉山篤男先生です。
杉山先生は、かなり緊張気味の中にも、ゼスチャーも交えたユーモアある語りで、統合失調症について語りました。
現在、日本人の5人に1人は、一生の内に何らかの精神疾患にかかります。しかしながら、そもそも何が健常で何が疾患なのか、その線引き自体、実にあいまいで、果たして正しいのか疑問だといいます。
統合失調症というのは、精神機能の調和が失われる病気で、基本的な症状としては、思考がきちんとつながらなかったり、二者択一が出来なくなるというのがあります。
また、妄想や幻聴が出てくるのですが、幻聴には2種類があり、一つは、自分が誰かに話しかけているつもりになって、しゃべっている自分の声が聞こえる(実際には誰もいないし、自分も声を出していない)、もう一つは誰かが話しかけてきている声が聞こえるというものです。
そのほか、『(自室などに)盗聴器が仕掛けられている気がする』、『テレビを見ていて、アウアウンサーと直接会話をしているような気になる』といった症状や、金縛りにかかるなどの体の不調を訴えてくる場合があります。
なお、これらの症状の全部を、本人が持っているとは限りません。
薬物によるものなど、原因がハッキリしている症状もあれば、そうでない症状もあります。
また、統合失調症とともに、精神の病として知られている『そううつ病』は、現在は『感情病』という呼び方に変わっているということです。
発症年齢については、大体10〜35歳と範囲が広く、人によってバラ付きがあります。
「講演は初めて」ということで、 やや緊張気味だった、講師の杉山さん |
会場全景。参加者が予想以上に多く、 急遽、広い会場に変更したという事です。 |
昔に比べると治療環境や方法も格段と良くなり、この病気のために社会生活が出来にくくなることは少なくなりました。
現在、精神病院に入院をしている人は60%ぐらいで、外来(通院)の人が30%ということですが、長きにわたる社会的入院というのは、退院後に、本人の社会感覚が著しくズレてしまう恐れがある(いわゆる浦島太郎状態になる)ので、問題だということです。
退院した人が社会感覚を取り戻す支援が強化されてきており、また、本人に客観的に症状を自覚してもらう教育をすることにより、発症しても、本人自らその事実と向き合いながら、社会生活を営めるようになる、と、教育の必要性を語っていました。
その後は薬剤について、いろいろな情報や助言をしていたのですが、一つ注意点として述べていたのが、「統合失調症の薬というのは、『鎮静作用』を伴うことが多いので、一見うつ病のような状態になる」というものです。
この場合は、本当にうつ病になったわけではなく、薬の副作用なので、そのように解釈してほしいという事と、決して好ましい副作用ではないので、薬を変えることを考えた方が良いという事でした。
現在は社会復帰に向けて、デイケアサービスやレクリエーション療法も盛んになっており、自立に向けて、『ホーム』の取り組みも始まっているそうです。
これからも、統合失調症の人が苦しむ事なく、同じ市民として社会で暮らしていける環境の整備が、進んでほしいと思いました。