ピアカウンセリング講演会を開催しました


みなさん、「ピアカウンセリング」ってご存知ですか?
「カウンセリングは相談という意味だけど、ピアって??」と思われている方も多いでしょう。
そこで、もっと知ってほしい、広まってほしいとの思いから、2010年3月28日『ピアカウンセリング講演会』を開きました。

当日は、神戸自立支援センターでピアカウンセラーとして活躍されている中尾悦子さんに、講師として来ていただきました。
会場にも車イスの方や障害者が、遠いところからもたくさん集まっていただきました。
しかし、みなさん緊張されているのか、最初は表情が硬く静まりかえっていましたが、中尾さんの流暢でとっても柔らかいホッとする笑顔につられて、だんだん和やかなムードに引き込まれていきました。さすが、ピアカウンセラーの中尾さんです(^v^)。

講師の中尾悦子さん 会場全景。開催決定当初の予想より、多くの参加者が集まりました。それだけ関心度が高かったという事です。


「ピア」+「カウンセリング」とは専門家を置かないカウンセリングで、『障害者同士で助け合うこと』、『エンパワメントを目指して支援すること』など、ポイントをあげながらとても解りやすく説明されていました。

またご自身のこれまでの人生について、『健常者に気に入られる障害者像を目指して“演技”をしていた。』、『身体で負けている分、頭で勝たないといけないと健常者に言われ、がんばってたくさんの資格を取ったりもしたが、本当の意味での自己選択ではなかったので、充実感が丸で無かった。』と語り、参加者の共感を呼んでいました。

中尾さんはその後、仲間を通じてピアカウンセリングと出会うのですが、初めて受けたピアカウンセリング講座で、リーダーから『頑張らなくていいんだよ』と言われ、その一言が良い意味で、人生で一番衝撃を受けた一言となりました。
「そうなんだ。障害者だからといって、頑張らなくてもいいんだ。健常者を、まるで『負けてはいけない対象』みたい捉える事は、しなくてもいいんだ。」
今までムリしていたものがフーッと取れて、気が楽になったといいます。

それからの中尾さんは、『同じ頑張るなら本当に自分がしたい事のために』と、演劇をやったり留学をやったり、そして最終的には自ら自立生活センターを立ち上げて、一つの自己実現に至りました。
この時は、実感できる達成感が沸いた、と言います。

現在はご自身がピアカウンセラーとなり、今までのいろいろな経験を武器に、活躍されています。
その中で先ず感じた事というのが、『自分も一緒に喋れる日常会話と、傾聴しなくてはいけないピアカウンセリングは、全然違う』という事でした。

講演の途中、中尾さんは当センターのスタッフと、『友達関係での会話と、ピアカウンセリングとしての会話の違いを、ロールプレイで示して下さいました。
友達関係だと、お互いにポンポン話が出たり自分の事をしゃべりたがるのが、ピアカウンセリングでは、カウンセラーは話をただ聞いてうなずくのみ、という違いがありました。
その後参加者同士(スタッフも含む)によるロールプレイもおこなったのですが、やってみた皆さんからは、『やはりどうしても言いたいことをつい言ってしまう。難しい』との声が挙がっていました。

ロールプレイの一コマ。急遽“指名された”スタッフですが、なかなかの名調子でした(^^)。


第2部ではディスカッションと質問に各グループに分かれて議論しましたが、あちこちで泣いたり、笑ったりとにぎやかに盛り上がっていました。
あるグループでは、「頑張らなくてもいいという言葉は、一番かけて欲しかった言葉だ。」と、目を輝かさんばかりに話している参加者の姿が見られました。
終わりに近づくと、どのグループも最初に比べてずっと自然になり、おしゃべりに花が咲いたようでした。
人の話を聞きながら、その人自身が持っている「力」を取り戻し、自己信頼の回復(自分を好きになる。)人間関係の再構築(人を好きになる。)など、勇気・戦う意欲・楽しく生きる力を持ってもらえるよう引き出すこと、そしてその話を絶対にほかの人にもらさないこと、これが「ピアカウンセリング」だということで 締めくくりました。

中尾さんのすばらしくわかりやすいお話に、みなさんも十分カウンセリングを受けたかのように帰えられるときには笑顔になっていたので、私たちスタッフもパワーをもらえた気分でした(^v^)♪

グループディスカッションの様子。ここでの時間が、今後への切っ掛けとなる人が出てくるといいですね。


当日は、約25名の参加者が来られました。
講師の中尾さん、参加者のみなさん、本当にありがとうございました。



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