介護保険との統合を考える大阪学習会に参加
2004年9月26日(日曜)、「障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議」(障大連)主催による、
『介護保険との統合を考える大阪学習会』が、大阪府総合福祉センター(ヒューマインド)で開催されました。
昨今、支援費制度と介護保険制度との統合問題に、全国の障害者福祉の団体・個人が揺れていますが、
大阪でも、今一度この問題の内容やこれまでの国の動き、そして、そもそもなぜこの統合が問題となるのかということを確認し、厚生労働省に対して、統合の反対を訴えていくための力をつけよう、と立ち上がり、学習会がおこなわれました。
当日は、まず「自立支援センターあるる」代表理事の東谷太さんから、これまでの、統合反対の運動の流れが報告されました。
その中で、きたる10月20日に厚生労働省前にて、統合反対の抗議行動が行われることが再確認され、
予定通り決行されることが発表されました。
会場のようす
経過報告をする東谷さん(左)
このあと、メインの学習会に入り、障大連事務局次長の古田朋也さんが中心となって、支援費制度と介護保険制度について、講義がなされました。その中で、2つの制度の成り立ちや理念、財源の違い、そして国の思惑が話されましたが、もっとも重要なことは、
今回の統合の実態というのが、両方の制度からよい部分を取って一緒にするというものではなく、介護保険制度という枠に、支援費制度が吸収合併されるというものである
ということです。この内容をもう少し具体的に説明すると、以下のとおりです。
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介護保険は保険制度なので、『将来のリスクに対して自分たちでお金を出し合う(=自己負担)』が原則である。財源が不足すれば負担をアップさせるのが普通、という仕組みで、これに、まだ年齢的にも若くて、なおかつ一般就労が難しい障害者が当てはめられると、生活が成り立たなくなる。
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介護保険では、(特に高齢者において)「介護を使わないのが自立」とされている。それに対して支援費制度は、「障害者が介護を使って地域で暮らすのが自立」とされている。したがって統合された場合、障害者がこれまで大切にしてきた『当事者主体』という考え方が、尊重されなくなる恐れがある。
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介護保険では、“ランキング式”に「要介護5−要介護1」に分類される。そのため、その日によって著しく状態が違う障害者(とくに知的障害者や精神障害者)や、そのほか目には見えにくい障害者は、不適切な分類をされることになる(分類自体、本当はできないはず)。
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介護保険では現在、少しでも財源面の負担を軽くするために、軽度の要介護者(おおむね要介護2以下)の人たちに対して、何かと利用制限を加えようとしている(ホームヘルプサービスを使わせない、など)。そうでなくても、最重度の要介護に対してさえ、一日3時間程度の介護保障しかない。軽度であっても、ホームヘルプなどのサービスが必要な場合がある障害者はどうなるのか?
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介護保険のもとでは、人の要介護度を身体的な側面(パッと見てわかりやすい側面)からしか見ないため、知的障害者で身体自体は健常者という人は、「家事などの援助は一切いらない」と見なされる可能性が高い。
統合問題について講演する古田さん
古田さんとともに、来場者からの質問に回答した、
パーソナルサポート枚方の長尾さん
そもそも今回の統合案というのは、
『介護保険の財源が足りなくなり、それを補うために、現在40歳以上の人から保険料を徴収しているのを20歳以上に拡大する。そうすると、現在の特定15疾患を、40歳以上の加齢にともなう疾患に限り認めるという考え方が、成り立たなくなる。20歳以上の人の疾患(障害)も介護保険で認めるのなら、いっそ介護保険の中に、支援費制度も組み込んで一つにすればよい』
という発想から生まれたもの。
財源不足というのは国の予測ミスが原因なのだから、それに対して国民の負担がかかる形で解決をはかるのは筋が通っていない。
予算配分が入所施設に偏り過ぎているのだから、それをもっと地域に分配するべきだ。
講演では、このような主張が盛んになされていました。
−国の理不尽なやりかたを許してはならない−
そのほか、この日の学習会では、知的障害者や精神障害者の人からのアピールも行われ、会場から盛んに拍手がおこっていました。
そして最後に、自立生活夢宙センターの代表である平下耕三さんから、
11月3日に行われる御堂筋デモの詳細の案内と参加呼びかけが行われ、
みんなでシュプレヒコールをして締めくくりました。
これから本番を迎える大きな運動に向け、よい勉強ができたと思います。
知的障害者の立場からアピールした
ピープルファースト代表の生田さん(右)と、
精神障害者の立場からアピールした
大阪精神障害者連絡会の塚本さん(左)
最後に場内を圧倒するシュプレヒコールを
おこなった平下さん
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