2008年7月5日(土)、岡町の福祉会館にて、国際障害者年を機に「障害」者の自立と完全参加をめざす豊中市民会議(国障年)の、第28回総会が開催されました。
今年は、はじめに代表の大谷勉氏より挨拶がなされ、そのあと、例年通り、来賓の紹介がありました。浅利敬一郎市長は所用のため欠席され、副市長が挨拶を代読しました。
挨拶をする大谷勉代表と、総会の横断幕 | 来賓の方々 |
その後、経過・活動報告が行われ、まずは国の動きについて、『自立支援法が施行されて約1年半が経つが、実施後僅か数ヶ月で、応益負担軽減策の拡大や、施設通所に対する大幅緩和策が実施された。これは裏返せば、それだけこの制度が最初から、既に欠陥だらけであったという事で、これは誰の目にも明らかだった事だ』と述べられました。
続いて府の動きについては、『橋下徹知事が就任して、数々の予算削減・廃止が実施されている。当初は福祉施策についても大幅な削減・廃止が案として上がり、これに抗議して府庁を取り囲む抗議行動もおこなった。結果的に当面の障害者施策への予算は存続することになったが、まだまだ予断は許さない』と述べられました。
次に豊中市の動きについてですが、『特筆すべき大きな動きはなかなか揚げられない。唯一揚げるならば、サービス支給のガイドラインが見直されたことだ』と手厳しい評価がなされました。そして、『府の動きとの絡みや、福祉公社と社会福祉協議会との統合などの動きにより、結果的に福祉施策の水準や、全国的にも高く評価されている地域でのいろいろな取り組みが、後退しないよう、願いたい』という声が出されました。
さて、最後に国障年の動きについてですが、『当事者が問題意識をしっかり持っていたか?しっかりした議論が出来たかと言えば、まだまだ不十分と言わざるを得ない。当事者のエンパワメントもまだまだ必要』と、自らに対しても手厳しい指摘をしていました。そして、『長年、同じ顔ぶれ、限られた人材での運営となっていて、新しい息吹が求められる時期に来ている。体制を新しくし、若い人材を巻き込むことが必要。』と、今後の方針が述べられました。
経過報告をする、事務局長の吉村さん | 中央の人が、昨年に続いて司会を担当した、青木君です。 |
この後、特別報告として、豊中市商工労政課主幹の西岡正次さんより、報告がなされました。
この中で西岡さんは、「豊中市では、企業に対して、障害者の就労促進に向けての取り組みを積極的に進めている。企業に訪問して求人を開発し、マッチングをおこなっている。また、職安や商工会議所等とも連携している。ジョブライフサポーター(ジョブコーチ)の養成講座も開いている。今後は、当事者や家族に対する支援において、より連携を改善していきたい。豊中市のこの様な取り組みは、全国的に見ても先進的なものなので、ぜひ続けていきたい。」
と、豊中市としての成果をアピールしていました。
これからもぜひ、他地域のモデルとなる取り組みを続けてほしいと思います。
豊中市商工労政課の、西岡さん | 総会全景 |
第二部では、記念講演として、『豊中若者の集い・歩道調査ユニット 事務局』の齊喜慶三さんより、『人をつなぐ まちを支える みんなでつくるバリアフリー、市内全域歩道調査経過報告』と題した講演が行われました。
豊中では、中学校の校区ごとに歩道調査をおこなっており、その経過はホームページでも公開されています。
齊喜さんは、ノリ良しギャグ良しテンポ良しの三拍子が揃った漫談トークで、これまでの地道な活動の経過を語ってくれました。
もともとは、ある電動車いす使用者(I氏)からの、「歩道は怖い」の一言がきっかけとなって始めたこの活動。
最初は1回だけ、ザッと全体の歩道調査をやって終わるつもりでいたこの活動ですが、いざやり始めると思いの外歩道の数も多く、また状態も悪い。調査対象だらけという事が分かって、「こりゃいつ終われるねん?」という話になったそうです(笑)。
最初は良くても、進むに連れて急に幅が狭くなったり途切れていたりして、車いすで歩いていたら、Uターンをしようにも出来ない歩道がたくさんあるとか。
また、齊喜さんは本職は中学校の教師なのですが、実は自分の務めている中学校の出入り口前の歩道に、いきなりバリアがあったという事で、しかもそれを発見したのは、当の中学校の生徒だったとか。
段差以外でも、危険だから柵があった方が良いのに無い所であるとか、本当にたくさんの“問題箇所”を発見した、と報告がありました。
もともと内々だけで地道にやっていましたが、豊中市が始めた『協働事業提案』に応募したところ、見事に採用され、結果、行政と連携しての継続事業として、新たに力を入れる事になりました。
そして、豊中市のサーバーを使って、ホームページでも公開しようという事になり、ホームページ作成の予算も、市から出る(単年度のみ)ことになったのです。
ホームページのタイトルは、少しでもみんなが『外に出よう』という気持ちになるようにとの思いを込めて、『それでも街にでかけよう』にしました。
現在、中学生の中にも、歩道調査に興味を持つ人が増えてきており、車いすの人がコンビニに入ろうとした時など、先を争うように扉を開けるという光景が見られるそうです。
誠に良いことだと思いました。
このような“気の長〜い”活動は、この先何年か経った時、きっと貴重な、郷土の財産になることでしょう。
そのことを信じて、これからも調査活動に精を出して欲しいと思います。
参加されたみなさん、講演をされたみなさん、暑い中お疲れさまでした。
館内を常に笑いの渦に包んでいた、齊喜さん | 歩道調査をする上では、独自の基準も設けました。 |
歩道の状態を分類する上で、独自に色分けをして、 『どの色はどの程度』という様に、表示していきました。 |
ホームページの表紙の紹介です。 |