障害者自立支援法を考える研修会が行われました


去る2005年12月2日に、豊中市の『青年の家いぶき』にて、障害者自立支援法を考える会による主催の研修会が行われました。
豊中市内の各障害者団体や当事者・その家族を対象に行われたもので、講師には障大連(障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議)の古田朋也さんが来られました。
いよいよ目前に迫ってきた制度施行を前に、現時点での最新情報や、今後へ向けてどうするべきなのかということを講演されました。

当日は昼の部と夜の部の2回に分けて行われましたが、いずれも参加者数が予想を大幅に上回り、場所も急遽変更になったということです。

講演の中で古田さんは、今回の制度施行までの経過を、2004年10月のグランドデザイン案提起にまでさかのぼって話をされました。
そして法案の目的を再度確認し、

支援費の財源不足から、障害程度に振り分けてサービスの利用を抑制する
応益負担による費用負担を強化する
国が責任を持つべき部分(ガイドヘルプなど)が市町村任せにされる
介護保険の概念に、強引に障害者福祉施策を当てはめる

という、この法案の本質を語っていました。

この日は、通所授産所で働く知的障害者の親もたくさん参加しており、特に授産施設に対する変化について、不安と怒りの声が多く上がりました。
障害をありのまま受け入れて生活する『ノーマライゼーション』の理念が浸透していたはずの障害者施策。しかしここに来て、障害者が再び訓練≠フ対象と見なされ、中軽度の障害者が介護の対象から外される可能性が出てきました。

また、国は介護保険の基準をそのままに、定率負担≠課し、

「2級年金(月6.6万円)レベルの収入の人は月5万で生活しているから、15000円は負担できる」

というめちゃくちゃな理屈のもと、この額を定率負担の上限としています。
しかも、この『上限』というのは、あくまでも介護と訓練の給付に対する上限でしかなく、医療費やガイド利用(外出)、それに筋ジストロフィーの人などにとって必要不可欠な補装具に関しては、別口負担になっています。これでは一層、障害者の生活は圧迫されることになります。

自立支援法のもとでは、各障害者に対して、『
障害程度区分調査』が行われ、この結果をもとに、どれだけ介護は必要か?という『等級』が決められていきます。
等級は『要介護1』から『要介護6』までの6段階となりますが、
これも介護保険の、『要支援』・『要介護度1〜5』(計6段階)のシステムをそのままコピーしてきたものです。



そしてこの『障害程度区分』では、調査項目が106に及ぶのですが、その大半が、『出来ますか?出来ませんか?』『何が出来ませんか?』という内容の質問で、答え方もいわゆるマークシート方式みたいなものと言います。
これだけで、障害者の生活の実態と基本ニーズを把握出来るだろうと考えている国というのは、本当にいかがなものかと首を捻らざるを得ません。

以上が、古田朋也さんによる研修会でした。
お金の負担の問題もさることながら、程度区分のやり方や定率負担上限の設定など、およそ障害当事者の生活実態に沿ったものとは言い難い、あまりにも大ざっぱ過ぎるやり方で事を進めてしまう点に対して、一番やるせなさを感じます。


講師の古田朋也さん 参加者の方々(写真は夜の部)



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