『障害者欠格条項を考える』 講座に参加しました


去る8月21日(土)、早川福祉会館(ピア大阪)にて、『障害者欠格条項を考える』講座が行われ、参加してきました。
正確には『2004年度第一回ピア大阪人権講座 障害者の欠格条項を考える 〜聴覚障害者の立場から医師法を見る〜』と題されたこの講座は、ピア大阪の主催でおこなわれ、医師法というものを通じて、障害者の欠格条項を考えていくことを目的としています。

欠格条項というのは、『障害を持っているというだけの理由で、最初から仕事を体験する機会も、能力をテストする機会や就職試験を受ける機会も、いっさい与えない』というものです。いわば就労における、障害者差別を合法化したような法律なわけで、これを無くそうと運動をしている方々が、この講座で講演をされました。

講座のようす。
多くの参加者が来られていました。
全体の司会を務められ、
自らも講演された牧口一二さん


この講座全体を進行したコーディネーターは、グラフィックデザイナーとして活動されている牧口一二さんで、自らも講演をされ、自身が就職活動で苦労をし、その体験を通じて初めて欠格条項というものが抱える深刻さについて考えるようになったという話をされました。また今講座のタイトルである医師法について、明治時代からの移り変わりを、資料をもとにひとつひとつ解説されていました。
障害者が医療に従事することで、日本の医療水準が下がると考えている人が、世間ではまだまだ多いということです。しかし、現在多発している医療ミスは健常者の医師によるものであり、必ずしも健常者は完璧で障害者だからミスをするというわけではない、と力説されていました。

次に、滋賀県の琵琶湖病院で精神科医をされている、藤田保さんが講演されました。藤田さんは、社会人になり、医師免許を取ってから病気で聴力を失いました。そして、「昨日まで耳が聞こえて声を出せていたのが、急に聞こえなくなって筆談しか出来なくなった。この時の心境は、実際になってみないとわからない」と語られていました。
聴力を失ったときは、病院側から、「患者と接する業務からは外れたほうがいいのでは?」と言われたこともあったそうですが、周りのスタッフが協力してくれた結果、今では耳の聞こえない患者にとってなくてはならない存在となりました。

最後に講演をされたのは、滋賀医科大学の学生である竹澤公美子さんです。この方は2歳のときに感応性難聴になり、最近になって人口内耳の手術を受けたということです。竹澤さんは、欠格障害の存在は確かに問題だが、自分が伝えようと努力すれば、必ず道は開ける、と、若さあふれる熱弁をふるっていました。
最初から、「どうせ自分は障害があるからダメに決まっている」と思うのは、自分の気持ちが障害に負けてしまっているからではないか?と、厳しい問いかけもしていました。

藤田保さん(左)と竹澤公美子さん(右) 参加者からの質疑応答も
沢山出ていました。


この講座を聞く以前は、私は欠格条項についてあまり知識もありませんでした。しかしこの講座を聞いて、いろいろこの条項の歴史的な面についても知ることができ、より深く認識することができたと思います。
障害を持っているだけで機会が均等に与えられない世の中は、絶対にあってはならないと改めて思いました。



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