全国自立生活センター協議会(JIL)総会・シンポジウム『障がい者制度改革の行方』に参加しました

2010年5月23日(日)〜25日(火)に、福岡市のアクロス福岡にて、今年度のJIL総会と全体会シンポジウムが行われました。
CIL豊中からは3名が参加し、ここでは全体会シンポジウムについて報告します。

シンポジウムでは、前半は障がい者制度改革推進会議室・室長の東(ひがし)俊裕さんより、基調講演がなされました。
その中で東さんは、これまで10回にわたる会議の経過を説明し、廃案が決定した自立支援法の中で、2点だけ良かった点があったと述べました。
その2点とは、『人権について、障害者団体に連携をもたらした』『行政から国会に、制度改革の議論の場が移った』です。

「昨年に民主党政権に変わって、障害者がいろいろなところに参画出来るようになり、現在は10〜20年に一度の歴史的転換点に来ている。
法律・制度を取り巻く環境が目まぐるしく変わる中で、このチャンスを活かして議論の最前線で活躍したい」
こういう熱い思いから、東さんは長く地元熊本でおこなってきた仕事を辞め、東京に拠点を移したといいます。
講演の端々から、その真摯さが伝わってきました。

その次に民主党の園田康博議員が講演し、
「障害者自立支援法は、法律を作ってから施行するまで僅か半年しか無かったため、準備不足で失敗した。国連で採択された障害者権利条約に日本が批准するためには、法整備が必要。
自立支援法に代わる新法は、2013年8月までに案を作って国会に通したい。それまでに、時間をかけてきっちり作りたい。

と述べていました。
見た目の法の整備だけを急いだ、稚拙な内容の法律だけは、今後、絶対に出ないようにして欲しいものです。

続いて、DPI日本会議事務局長の尾上浩二さんが講演し、
「これからの改革を進めていく上で、ここ数年がJILとしても正念場である。10年・20年に一度のチャンスだから、しっかり連携してやっていきたい」
と、熱く語っていました。

 
基調講演のようす。前に座っているのが東さんです。
 
シンポジストの方々。一番右端が、民主党の園田康博議員です。



この後、『自立支援実践報告』が行われました。
この中で印象に残ったのは、北海道にあるCIL北見の報告で、遠方に住む人の支援3件を実施しているという報告でしたが、その内容は、
1.在宅のALSの方の援助で、CIL北見から利用者宅まで車で往復5時間
2.入所施設にいる脳性麻痺の方の援助で、施設まで車で往復6時間
3.入院中のALSの方の援助で、病院まで車で往復11時間

というものでした。

時間的な負担が尋常ではなく、経費(ガソリン代)も事業所持ち出しとなっているが、何とか使命感で援助を続けているという事でした。
都会の便利なところで暮らしている人たちには、ちょっと想像出来ない実態です。

全体を通じて、今という時期がいかに正念場であるかが、ひしひしと伝わってきました。
また障害にはさまざまな種別があるので、一口に『当事者運動』といっても、それが身体障害の人の発言だけが大勢を占めるものになると、知的障害や精神障害の当事者の声を反映させていくのが、難しくなってしまう、というのも感じました。

そして『地域移行を進める』ということについては、現状では、特に報告の中に出てきた北海道など、過疎地で交通も不便な地域では、まだまだ道のりは厳しいかも知れないと思いました。

 
自立支援実践報告の様子。九州で聞く北海道からの報告は、ものすごくインパクトがありました。



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