豊中市 障害者自立支援法を考える会主催
学習会が行われました



いよいよ障害者自立支援法施行まで10日を切ったこの時期、3月21日には大阪のつどいWが行われましたが、その翌3月22日と、3月27日の両日、豊中市障害者自立支援法を考える会主催の学習会が開催されました。
3月22日は、講師に『NPO法人大阪障害者センター』事務局長の塩見洋介さんが、そして27日には、『社会福祉法人よさみ野福祉会 よさみ野障害者作業所』施設長の荒木勝司さんが、それぞれ来られました。

内容はいずれも、障害程度区分の判定の仕組みについてで、
3月22日の学習会では、どの項目の回答が、より判定に反映するのか、そして79項目内にある『歩行が出来る』、『片足でバランスを保てる』という項目について、具体的に何メートル以上歩けて、何秒以上バランスを保てたら、『出来る』という範囲になるのかという事が説明されました。
因みに、歩行については5m歩けたら、片足でのバランスについては、これは聞いた瞬間「ホンマか?」と思ったのですが、1秒間保てたら『出来る』になる、という事です。

また、区分判定の仕組みとして、身体介護に関する79項目のほうが、行動障害に関する16項目よりも、判定に際しては重点を置かれる。従って、行動障害の項目で全て『出来ない』と答えても、あまり区分を重くするためには反映されず、むしろ『出来る』と答えたほうが、全体として重度と判定される場合がある、と説明していました。


学習会の表題(左)と、講義をする塩見洋介さん
区分判定の仕組みを、図で示して説明します。


そして、介護給付の生活介護を受けるためには区分3以上、中でも夜間を入所施設で暮らしている人は、区分4以上ないといけないという、厳しい制約があるという話がなされました。
グループホームについても、居宅系とされるケアホームは、区分2以上が必要ということになりました。

日常生活動作については、例えば調理なら、冷蔵庫の中の食材を取り出してから、最後に食器を棚に戻すまでの一連の動作が出来て初めて、『出来る』という判定となり、もしいずれかの段階で出来ない部分がある場合は、『一部介護必要』となるということです。
さらに多動性障害についても、もし多動性が無ければ身体的にはいすにじっと座っている事が可能である場合は、例え実際にはいすにじっとしている事が出来なくても(多動性のために)、『出来る』と回答しなくてはならないと告げられ、会場からは「信じられない。」という声があちこちから挙がっていました。

参加者の人たち




続いて3月27日の学習会では、『社会福祉法人 よさみ野福祉会 よさみ野障害者作業所』施設長、荒木勝司さんが講師となり、ここでも障害程度区分の仕組みや、特記事項の蘭に書き込む対象が何か?という事について説明がなされました。
今回の法律の認定調査項目では、個々の障害者の細かい状況がほとんど反映されない、理不尽なシステムになっているだけに、特記事項の蘭にいかに多くの内容(=その人の実態に即した状況)を書き込むかが、少しでも行き届いた支援を得るための大きなポイントになる、と力説していました。

そのほか、この日の説明会では、区分判定の際に実際に用いられる計算メカニズムを、細かく図解したものが示されて、一つ一つ見方が解説されました。ただ、専門的な数式や記号など非常にややこしく、見ていて頭が痛くなるような代物でした。
そして、各区分に対する支給時間の数値も表で示されていましたが、特に低い区分では本当に少ない時間数というのが印象に残りました。以下にその表を掲載します。

区分 判定時間数
非該当 0分
区分1 25分以上32分未満
区分2 32分以上50分未満
区分3 50分以上70分未満
区分4 70分以上90分未満
区分5 90分以上110分未満
区分6 110分以上


パソコン内での計算ルートばかりを複雑にして、当事者に対する聞き取りの項目は実に大ざっぱな物に終始しているのは何故か、見ていて腑に落ちない心境でした。
今回の認定調査では、1次判定の結果を不服とする場合は、2次判定も行われるのですが、果たして1次判定の結果に対して、どこまで行き届いた見直しがなされるのか、あまり期待出来るものはないといいます。そして2次判定でも不服の場合は、もうそれ以上の不服審査はなされません。
これでどこまで、本来なら当然であるはずのサービスを受けられるのか、変なシステムだとしか言いようがありません。


学習会の表題(左)と、講義をする荒木勝司さん
区分判定の仕組みを図解したもの。
まるで限りなく親族が多い家系図みたいですね。
参加者の人たち


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