『サービス等利用計画とセルフプランについて』市民講座を開催しました


平成26年7月5日(土)、14:00~16:30まで、2014年度CIL豊中主催 市民講座が、豊中市立福祉会館3階集会室にて行われました。
平成24年度に行われた障害者制度の一部改正により、障害者福祉サービス・障害児通所支援を利用するためには、『サービス利用計画』の作成が必要となりました。
今年度は、3年間の経過期間の最後の年になるため、サービス等利用計画の作成が急務になり、利用者や支援者の理解と協力が一層必要となります。
そこで分かりやすく学習する機会を設け、みなさんに理解をして頂くべく、『サービス等利用計画とセルフプランについて』をテーマに、講座を開催しました。
当日は天候がやや不良だった中、約60名の方が参加されました。

講師を務めて下さったのは、豊中市障害者基幹相談支援センターの杉本博一さん、豊中市役所障害福祉課の垂水剛さん、それに当センター職員の上田哲郎、同理事長の徳山辰浩です。




杉本博一さん

杉本さんは元々は、地域活動支援センタークムで働いていましたが、本年4月に、基幹相談支援センター(以下、基幹センターと称す)が開設されたのに伴い、現在は基幹センターの相談員として働いています。

ここでは基幹センターについて説明しますが、現在、サービス等利用計画作成を行える事業所(相談支援事業所)は、豊中市内に10ヶ所あります。
しかし、その内のどこに依頼をして、自分が使う福祉サービスについてどこに相談したらいいのか、分からないという方も多いのが実情です。
そこで、相談への入口として、『先ずはこちらへお問合せ下さい』という場所を設けるべく設置したのが、基幹センターです。

基幹センターには現在3名の職員が、相談員として常勤しています。
日頃寄せられる相談の中で多いのは、「たくさんサービスがあるのは知っているけど、どうやったらそこまでつながるのか分からない」「市役所に問い合わせたら、担当が変わったということでまた一から自分のことを説明しないといけない。これは大変苦痛だ」「自分にとってふさわしいサービスが何か見極めにくい」「時間数など、サービスの利用内容を変更する時、手続きが難しくて分からない」というものでした。

これまで、当事者自らやその家族が、何とか立ち回って問題を解決しなくてはならなかったのですが、その点で今後は『サービス等利用計画』というものが、解決への道筋をつけてくれる制度になるのでは?と考えています。

今日、みなさんに覚えて帰ってもらいたい一言がありまして、それは
【ワンストップの相談窓口】です。
【ワンストップ】というのは、今までなら相談に乗ってほしい障害当事者は、自分で相談内容をまとめ、相談先を探し、出向かなければなりませんでした。
出向いたとしても、「あ、それはウチの専門じゃないので、ほかへどうぞ」と振られていたのが現状だったのですが、それに対して、ある一つの相談窓口につながれば、そこで相談内容を全て受け入れて、解決策を一緒に考えてくれる、そういう窓口が出来たことが即ち、【ワンストップ】なのだと考えて下さい。

また、支援者も、これまでは個々の支援者が、相談されたことを一人で抱え込まなくてはならないケースが、多々ありました。
しかしこれからは、支援者同士、さらには相談事業所同士が情報を共有し、一人の支援者で抱え込まないシステムが、構築されるものと思います。

サービス等利用計画は、一人一人が契約して計画作成をするものですが、その過程で、ワンストップの相談窓口も存在している、ということです。
ワンストップの相談員は、最後まで当事者に寄り添うことが出来ます。
また、他の福祉サービス事業所の方々と手をつないで、チームになって、当事者を支援していくことを、サービス等利用計画でやっていこうとしています。
この先、サービス等利用計画を利用する上で、どこに連絡して良いか迷ったら、先ずは基幹センターに問い合わせて下さったら結構です。

今まではバラバラだった、相談へのアクセスが、基幹センターと各相談支援事業所が出来たことにより、一つのネットワークとしてつながったと思って下さい。

さて、基幹センターでは、主に4つの業務をおこなっております。
このうち、今までお話してきたことは、【総合相談・専門相談】になりますが、ほかの3つについては以下のとおりです。

【地域移行・地域定着】
精神科の病院とか、入所施設から、豊中市の町の中へ生活を移行する際に、相談員が一緒になって動くというサービスです。

【地域の相談支援体制強化の取り組み】
上記で述べたことの繰り返しが含まれますが、相談内容に応じて、医療機関とか、さまざまなサービス提供事業所などに話をして、豊中市としての相談体制を創っていこうという取り組みをやっております。

【権利擁護・虐待防止】
基幹センターは行政も担っている部門があり、この部分は行政が担っています。

★☆豊中市障害者基幹相談支援センターのご案内☆★ 
開所時間 9:00~17:15
開所曜日 月曜~金曜
休所日 土曜・日曜・祝日・12/29~1/3
電話 06-6862-0095
住所 豊中市稲津町1-1-20、豊中市障害福祉センターひまわり2階
相談方法 来所、電話、訪問

計画相談支援(ながれ)
障害者相談支援のことばの説明




垂水剛さん

垂水さんは、豊中市役所障害福祉課の、相談支援擁護係というところにいます。
先ほどの杉本さんの話に引き続いて、サービス等利用計画作成についてお話しますが、今までは、福祉サービスを利用したい人自らが、市役所に行って直接申請をしていました。
しかし、来年4月からはそれが出来なくなり、『サービス等利用計画』というのを相談支援事業所で作ってもらわないと、市役所としては、受給者証を出すことが出来ないのです。
市役所が受給者証を発行する根拠が、来年4月からは、『サービス等利用計画』という計画書、またはセルフプラン(後述)になります。

「一体何故そんなことをしないといけないの?面倒くさいやん!」というのが、多くの皆様のお気持ちかと思います。

その理由ですが、たとえば重度の障害のある人が一人生まれると、その人のライフステージに従って、その時々様々な支援機関が、本人の状態を把握し、サポートします。
しかし、その期間というのは一生涯という訳ではありません。
いずれ親が亡くなった時など、先々、一体誰が本人のことをサポートするのか?
その役割を担うのが、基幹相談支援センターであり、相談支援事業所となる訳です。
だからこの『計画』(サービス等利用計画)というのが、面倒くさいのだけど入ってきた、というように理解して下さい。

現在、豊中市には、計画作成の対象となっている人が約3,000人います。
しかしその内、既に計画を作成済みという人は、6月末現在で147人しかいません。

残りの約2,850人の対象者について、今のルール通りに考えると来年3月までに全員計画を立てないといけないのですが、そんなこと本当に出来るのか?
もし計画を立てられなかったら、その人たちはサービスを受けられなくなるのか?

そのような不安を持っている人が、実際大変多いので、その点についてお話します。

計画の作成にあたっては、前述のサービス等利用計画を事業所(相談支援専門員)に作ってもらうか、自分で計画を作成して市役所に提出する(=セルフプラン)かの2択があります。
受給者証は1年間有効で、豊中市では毎年誕生月の末日までを有効期限としていますので、その1月半前ぐらいになると、各対象者に市役所から更新の案内書が届きます。
その際に、7月生まれ以降の人については、計画作成の案内を同封して、市役所より案内書を郵送しています。

では、来年3月までに全員計画作成で、7月生まれから順次案内していったら、4~6月生まれの人はどうなるの?ということになりますが、8月ぐらいから順次、少し時期をズラして(前倒しして)4~6月生まれの人に案内をしていきます。

「でも、役所から新しいことが文章で来ても何か難しいし、申請書類も書きにくいし、どうしたらいいの?」という疑問も寄せられます。

これの回答ですが、毎年送られてくる申請用紙が来たら、それに必要事項を書いて市役所に返送して下さい。
そしたら、担当者から電話があって説明がなされるので、計画を立てるかセルフプランで行うか選択して下さい。
計画を立てる際の相談は、基幹センターにしてくれたらいいと思います。

ところで今、計画を実際に作成出来る相談支援専門員は、豊中市内で30余人しかいません。
そのため、専門員の手が混み過ぎていて、計画作成が間に合わない状況が多々出てくるのですが、今年度の内は、計画が無くても従来通り受給者証の更新をするので、「計画が無いからサービスが支給されない」ということはありません。

ただ、この言わば『特例措置』は、来年4月以降は一切利かなくなり、必ず計画作成がなされないと受給者証を発行出来なくなるので、その段階で、何らかの理由で作成が間に合わない人は、セルフプランでの作成を市が手伝います。
計画作成が必要な人でも、一時的にセルフプランの形を取ってもらって行政が手伝うので、サービスが途切れることはありません。


★☆セルフプランを行える条件

本人自らの意志でセルフプランを選択したのか?が、一番重要な点になります。
一つの基準として、障害支援区分(元の言い方は障害程度区分)の聞き取りの中で、意思表示や判断、理解という項目がありますので、そこで『出来る』という回答になる人は、セルフプランの対象になるものと考えています。
市役所として一番気になるのは、セルフプランが実は周りの人の都合で作られていないか?確かに本人自身の意志なのか?という点ですね。
その点は、市役所が訪問した場合でも、本人さんに直接しっかり確認を致します。

※豊中市では、サービス等利用計画作成とセルプランに於いて、国が作った基本形の書式とは別に、豊中市独自の書式を作成致しました。
実際の作成にあたっては、どちらの書式を使用しても結構です。




上田哲郎、徳山辰浩

当センター上田と、当法人理事長徳山より、セルフプランについて説明を致しました。

先ほどの説明にもありましたように、相談支援事業所で計画を作成するのに対して、自分で計画を立てる方式をセルフプランと言います。
セルフプランの適用は、本人の意志によるものが原則ですが、過疎地など、地域に身近な相談支援事業所が存在しない場合も、セルフプランが適用されます。
豊中市には10ヶ所の相談支援事業所が存在していますが、もし、その全てが「今、手一杯で新規の受け入れが出来ない」と断ってきた場合は、豊中市も、『身近に事業所がない』という例に当てはまる、というように解釈されます。

事業所が計画を作成した場合は、その事業所の専門員によって、定期的にモニタリングがなされなくてはなりませんが、セルフプランの場合は、「もう全部自分で出来る」と見なされますので、モニタリングの必要はありません。

セルフプランの作成が必要となるのは、新規申請と更新申請、それに変更申請のときです。
また、利用者の意志で、事業所による計画作成→セルフプラン、セルフプラン→事業所による計画作成に、それぞれ切り替えることも可能です。

セルフプランの場合の記入用紙については、市役所で受け取るか、市役所のホームページから印刷・閲覧して下さい。
なお、18歳以上と18歳未満では、書式が異なります(サービス等利用計画の用紙も同じ)。


※今後、実際にセルフプランで作成する人のために、当日は5例のセルフプラン記入見本を用意し、順に説明していきました。
上記市役所のホームページから、用紙をダウンロードすることが出来ます。




質疑応答では、以下の質問がなされました。

①「セルフプランの場合はモニタリングは必要ではない、というのは豊中市だけなのでしょうか?」
回答:「セルフプランだと、モニタリングは自分で自分に対してやる、という、一人二役の格好になるので、それでは意味がないので、どこもモニタリングは必要としていません。」

②「対象者が最重度の知的障害の場合は、セルフプランは馴染まないというように聞いていますが、豊中市はその点どうお考えですか?」
回答:「セルフに馴染むか否かは、障害支援区分の聞き取りの結果を一つの指標としていますので、その意味では、セルフではない計画作成が優先されると解釈して下さい」

③「豊中市では本人に対してセルフプランの意向確認をするとされていますが、どういう形でされるのですか?」
回答:「本人のご意向が聞き取れる形で行おうと思っています。必ずしも面談が全てではなく、電話による確認の場合もあります」

④「先ほどの質問でも出ていた最重度の知的障害者の場合は、セルフプランは事実上無理、ということになる訳ですね?」
回答:「飽くまで本人が希望される場合、という選択制ですので、直接本人の確認が取れない限り、セルフの適用にはならないということになります。ただ、それでもどうしてもセルフを強く望まれると(ご家族等が)いう場合は、充分相談によって対応致します」

⑤「計画でもセルフでも、希望する支給時間数を書く訳ですが、最初から上限という縛りは、どうしてもある訳ですよね?」
回答:「はい。申し訳ないですが、ガイドラインということで、各障害類型、上限を設けております。だから飽くまでもその範囲内での支給となります。ただ、上限そのものに対するご要望・ご批判は、市役所としても内部に持ち帰りたいと思います」

⑥「今は相談支援事業所の数が足りていない現状だと思いますが、来年度以降、これをもっと増やす計画はあるのでしょうか?」
回答:「来年度は、数字は分からないのですが増えるものと思っています。既に新たに事業所を立ち上げたいという相談も、何件か市役所には寄せられています」

⑦「私は他市在住の者ですが、今月からセルフプランを始めているのですが、市から自分のモニタリングを行うように言われていて、自分で事業者側の立場と利用者側の立場と、頭の中で二役演じて行わないといけないという、頭の中が混乱している状況なのです。まさか豊中に、このような独自の書式があるとは知らなかったのですが、大阪府全体で一つの共通の書式というのは、出来ないものか?と・・・・・。自分の市で豊中の書式を紹介して良いですか?」
回答:「この間大阪府の会議があった時は、豊中独自の書式を紹介して、セルフもホームページでアップしている旨を伝えてありますので、そちらの市で紹介して下さっても結構です。それと、自分で自分にモニタリングをして、本来の記録票に書き込めというのは、そちらの市の担当者が言っていることが間違っていますね




いよいよ今からが、計画作成の忙しさ本番となります。
事業所としては、これからキャパシティーの限り依頼を受けていきたいですし、利用者さんとしては、今回の市民講座に来られた方は全体のごく一部ですので、まだまだ制度の概要が周知徹底されておらず、不安な日々を送っている方もいると思います。
皆が少しでもニーズが満たされ、使いやすい制度になっていくことが大切ですが、その意味では、今回の制度改正による一連の『サービス等利用計画作成』の流れは、支持されるべき部分もある反面、まだまだスリム化・シンプル化する余地がありそうです。

当日参加して下さった皆さん、講師を務めて下さった皆さん、手話通訳・パソコン要約筆記のみなさん、本当に有難うございました。



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